光ファイバー中を伝搬するレーザー光の高出力化に伴い、光ファイバー内での誘導ラマン散乱(SRS)や誘導ブリルアン散乱(SBS)といった非線形光学効果が起こりやすくなる。これが高出力ファイバーレーザーの特性を制限する。この非線形光学現象を避けるためにはコア径の大きな光ファイバーか短尺の光ファイバーが必要である。しかしファイバー長を短くすると、相互作用長が短くなり、ファイバーレーザーの効率が低下してしまう。よって、高効率を維持しながら非線形光学現象を抑えるためにはモードエリア(モードフィールド)が大きな光ファイバーが必要となる。そこで開発されたのが、低NA・大口径化された大モード面積(Large Mode Area : LMA)ファイバーである[1-3]。LMAファイバーはその開発の経緯からも分かるように、多くの場合ダブルクラッドファイバー(DCF)である。

通常のダブルクラッドファイバーとLMAダブルクラッドファイバーの違いを図1に示す。

大モード面積ダブルクラッ ドファイバー

図1:(a) 通常のダブルクラッドファイバーと(b) 大モード面積ダブルクラッ ドファイバー

波長1064nmの一般的なファイバーレーザー用のSMファイバーのMFDは6μm位でモードエリアは約30μm2である。これに対し、コア径30μmの高出力ファイバーレーザー用LMA(ダブルクラッド)ファイバーでは、MFD~24μm、モードエリアは約450μm2である。これにより、SMFのCWファイバーレーザーにおいて~100WだったSRS閾値が、LMAではkWレンジまで増加する[3]。またパルスファイバーレーザーの場合、SRSの閾値は通常のSMFの場合でピークパワー~20kW、LMAファイバーの場合~300kWになる。SI型ファイバーにおいてシングルモード伝搬するためには、コア径dとコアのNAの間に次式の関係が成り立つ必要がある。

コア径d とコア のNA の関係

よって、コア径を大きくするとNAを小さくしなければならない。例えば、コア径20μmの場合コアのNAは0.038以下で、コア径30μmの場合コアのNAは0.025以下であるとき、完全シングルモードになる。しかし、NAが小さくなると基本モードの曲げ損失が増加し、長期安定性・再現性に問題が生じる。このため、一般的なLMAファイバーはシングルモードファイバーではなくマルチモードファイバーであり、コア径は10~40μm、NAは0.06程度である。例えば、

LMAファイバーのコアとクラッド

が挙げられる[4]。

Yb添加LMAダブルクラッドファイバーで構成された光ファイバー増幅器を図2に示す[5]。

Yb 添加LMA ダブルクラッドファイバーを用いた光増幅器

図2:Yb 添加LMA ダブルクラッドファイバーを用いた光増幅器

一般的に希土類が添加されていない光ファイバーをパッシブ(受動)ファイバー、希土類が添加されている光ファイバーをアクティブ(能動)ファイバーという。パッシブLMAファイバーは、高エネルギーの光を低損失で伝送することができるため、高出力レーザー伝送や励起用コンバイナ(ポンプコンバイナ)、センサプローブに応用されている。特にアクティブLMAファイバーと同じコア径、NAを持ったパッシブLMAファイバーはファイバーレーザーや光ファイバー増幅器に用いられることが多い。LMAファイバーは通常のSI型だけでなく、フォトニック結晶ファイバー型も存在する。

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