通常のSI型光ファイバーにおける空間モード数Nは、偏光の自由度 (縮退しているもの) を除くとVパラメータを用いてN~V2/4で与えられる。例えば NA = 0.06、波長1064nmの場合、コア径d = 20μmて3個、30μmで7個、 100μm で 78 個、200μm では 300 個以上もの空間モードが存在する。

ここで、マルチモード伝搬している光の電界分布を見ると、高次モードほど光がコアからクラッドにしみ出しており、光ファイバーを曲げることにより、基本モードにおける曲げ損失を抑えたまま、高次モードの曲げ損失を大きくできる。LMAファイバーの場合、NAが0.06 程度と非常に小さいため、大きな曲率を与えることで直線偏波(LP)モードを制御し、シングルモードに近いビーム品質(M2~1) のレーザーを得ることができる (モードフィルタリング効果)。LMAファイバーをコイル化することで高次モードを抑圧する方法は一般的に知られている。

コア径 30μm、NA = 0.06 の LMA ファイバーをコイル化した場合、最初の 4 つの横モードにおける曲げ半径と曲げ損失の関係を図1に示す。光ファイバーの曲率半径が5cmのとき、LP01モードの損失が~0.01 dB/mなのに対し、 LP11モードの損失は~50 dB/m である。よって、このLMAファイバーに5cmの曲率を持たせたときのレーザー光はシングルモード伝搬することがわかる。

 

図1:光ファイバーの曲率半径と曲げ損失

図1:光ファイバーの曲率半径と曲げ損失

 

LMAファイバーと高出力半導体レーザーの出現により、2004 年に出力100Wが限界だったシングルモード出力が1kWを超え、現在では図2のような構成により10kWの出力が達成され、今後は15~20kWの出力が期待されている。またコア径80μm (NA = 0.06)のLMA Yb ダブルクラッドファイバー増幅器により、非線形光学現象を抑え、ピークパワー 1.6MW、パルス幅 700ps、パルスエネルギー 1mJ、繰り返し周波数 50Hz のシングルモード出力が報告されている。

 

図2:10kW シングルモードファイバーレーザーシステムの構成

図2:10kW シングルモードファイバーレーザーシステムの構成