量子効率が1に近いファイバーレーザーにおいて、励起光の吸収効率は全体の効率を大きく左右する。すなわち、ダブルクラッドファイバーは高出力な励起光を高効率で励起に寄与できる構造でなければならない。

最も基本的で製作しやすい円形断面同軸クラッド (Round-shape) では、図1(a)のように端面入射時にコアを通らない励起光はほとんどコアを通らず、内部クラッド内を螺旋状に旋回 (Skew: スキュー) しつつ伝搬するため、励起に寄与しない。[コア断面積]/[内部クラッドの断面積] 比が小さければ、この成分が多いので励起効率が悪くなる。

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図1:ダブルクラッドファイバーによる高効率励起方法。(a) 円形内部クラッド におけるスキューの様子、(b) 高効率励起の方法

 

そこで、このスキュー成分を散乱させるため、内部クラッドの断面形状は図2のように工夫されている。また、図1(b)のように、ダブルクラッドファイバーをインゲンマメ形 (Kidny-shape) に曲げることで空間モード変換 (mode mixing) し、より高効率な励起を可能にしている。なお、この方式は低NAのコアを通るレーザー光の高次モードに大きな曲げ損失を与えることができるので、マルチモードファイバーレーザーから基本モード出力にエネルギーを集中させるためにも用いられる。

 

chapter3-09

図2:ダブルクラッドファイバーの内部クラッドの断面形状

非円形の内部クラッド内では伝搬中にモードが連続的に変換されるため、ファイバー長を長くとることで、入射した励起光は効率的にコアに吸収される。ダブルクラッドファイバーの内部クラッドの断面形状と吸収特性の関係を図3に示す。円形断面を除けば、十分長いファイバーを使用した場合に吸収率に大差は見られない。なお、一般に多く用いられているのは励起効率が高い正8角形及び、D形内部クラッドである。正8角形内部クラッドは軸対称であるため光ファイバー融着が容易であるが、製造が困難である。D型内部クラッドは製造が容易だが、軸対称ではないため光ファイバー融着が困難である。

 

図3:内部クラッドの断面形状と吸収特性の関係

図3:内部クラッドの断面形状と吸収特性の関係