光ファイバーはアスペクト比(ファイバー径とファイバー長の比)が高いため排熱処理を行いやすい。しかし、排熱により光ファイバー中で温度勾配ができると熱応力が引き起こされる。そこで、ここでは弾性範囲(変形しても元に戻る範囲)での光ファイバーの熱応力について述べる。
光ファイバー長Lは内部クラッド径2rbより大きい(L≫2rb)ことを考慮すると、ファイバー断面における径方向の熱応力σrと接線方向の熱応力σφはそれぞれ次式で示される[1]。

αは線膨張係数(材料が単位温度上昇した時の膨張率)、Eはヤング率(弾性範囲で物質に力を加えたときにどれだけ変形するかを示す定数)、vは弾性範囲で横の歪と縦の歪の変化率の割合を示すポアソン比(横ひずみ[%]/軸ひずみ[%])である。また、光ファイバー断面における熱応力σz(r)は次式で表される。

σzの最大値をσmaxとすると熱衝撃係数Rtは次式で示される[1]。

また、熱破壊限界の熱体積密度Phmaxは次式で表され、熱衝撃係数Rtのみで熱応力の評価が可能となる。

熱衝撃係数Rtはレーザー媒質形状がロッド型である限り半径には依存しないため、ファイバー型、バルク型に関係なく媒質で決まる。実際に、シリカガラスの場合は熱伝導率Kic=1.38[W/(mK)]、最大熱破壊応力σmax=150MPa、ポアソン比ν=0.17、線膨張係数α=0.55×10−6K−1、ヤング率E=72GPaであり、熱衝撃係数Rt~4300[W/m]となる[2]。他のバルク型結晶やバルク型ガラスの熱衝撃係数Rt(YAG結晶:1100[W/m]、サファイア結晶:3400[W/m]、リン酸ガラス:~100[W/m])[3]と比較するとシリカガラスの熱衝撃係数Rtは大きく、優れた熱耐力を持っていることが分かる。

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