四光波混合(FWM:Four-Wave Mixing)[1,2]は光パラメトリック効果の一種であり、2つ以上の異なった波長の光をファイバー中に入射した際に生じる。一般には、3つの異なった波長の光を光ファイバー中に入射した際に、それらのどの波長とも一致しない波長の新たな光が発生する現象である。新たに発生した光はアイドラ(idler)光と呼ばれる。FWMは全ての媒質でSRSに影響することが知られており、光ファイバーにおけるSRSへの影響は詳細に研究されてきた。

FWMは1つまたはそれ以上の波から光子が消滅し、他の周波数のところに新しい光子が作られるときに起こる。これらの光子は、パラメトリック相互作用において全エネルギーと運動量が保存されるように作られる。ここでは、周波数がωp1、ωp2、ωprobe、ωidlerを持つ4つの光波を考える。

FWMは1つの光子がそのエネルギーを周波数ωidlerp1p2probeの光子1個に転換する場合、周波数ωp1、ωp2の2つの光子が消滅し、同時にωprobeidlerp1p2を満たす周波数ωprobe、ωidlerの2個の光子を作り出す場合に分けられる。

ωidlerp1p2probeの場合

FWM過程を満たす位相整合条件を、高い効率で起こるようにするのは難しい。しかし、ωp1p2probeの時は第3高調波の発生、ωp1 = ωp2 = ωprobeの時は周波数ωidler=2ωp1probeの波への周波数転換となる。

ωprobeidlerp1p2の場合

FWM過程の条件は、ωp1p2という条件が満たされる場合、比較的容易に満たされる。光ファイバーで専ら研究されているのが、このように光波の一部が縮退している縮退四光波混合(DFWM:Degenerated Four-Wave Mixing)である。物理的に言うと、この過程は誘導ラマン散乱の場合と同じような形で現れる。すなわち、ωpp1p2の強力なポンプ光から出た2つのフォトンが、1つはプローブ光(診断光)の周波数ωprobe、他は周波数ωidler=2ωp−ωprobeに転換されると考えられる。

図1はFWMの概念図であり、(a)はポンプ光が2波の場合、(b)はポンプ光が1波の場合を示す(DFWM)。

周波数域における四光波混合の概念図

図1:周波数域における四光波混合の概念図。(a) ポンプ光が2 波の場合,(b) ポンプ光が1 波の場合(縮退四光波混合) の場合

波長分割多重(WDM)方式による伝送を行う際、多重化した信号間のFWMは伝送性能を劣化させる。なぜなら、複数波長の信号が等間隔で配置されている場合、FWMによるノイズ光が使用する波長上に発生し信号劣化を引き起こすからである。特に、波長がゼロ分散波長に近いほどFWMによるノイズ光(波長チャンネルのクロストーク)の発生効率が高くなるため、DSF(Disperson Shifted Fiber)を用いた場合、C-bandにおいて問題となる。そこで、WDMシステムでは、使用波長帯域の近傍で波長分散をゼロとしないノンゼロ分散シフトファイバー(NZ-DSF)が有効である。FWMはWDM伝送を行う際には問題となるが、新しい波長を作り出すのに効率がよいため、波長変換デバイスとして盛んに研究されている。

波長変換には種々の方法が提案されているが、FWMは、他の波長変換に比べて変換の速度が速く、波長帯域間の信号を一括して変換できるという利点がある。光ファイバー中のFWMを高効率かつ広帯域にするには以下の4つの方法が有効である。(1)ポンプ光の波長を光ファイバーのゼロ分散波長と一致させる(2)光ファイバーの軸方向の波長分散の変動を小さくする[3]。(3)プローブ光とポンプ光の偏光状態を揃える。(4)高非線形ファイバーを用いファイバー長を短くする(光ファイバー長≤コヒーレント長)[4,5]。

Reference and Links