高出力レーザーを取り扱うときに気をつけれなければいけない現象に「ファイバーヒューズ」がある。
そこで、今回はこのファイバーヒューズの原因・特徴について紹介します。

ファイバーヒューズとは?

ファイバーヒューズとは、数Wの光を伝搬しているファイバーの一部を加熱すると、そこにプラズマが発生し、それがファイバーの中心に閉じ込められた状態で光源に向かって進んでいく現象である。プラズマが進む早さは毎秒約1mであり、プラズマが通った後の光ファイバーは破壊されて使い物にならない。放っておくと、ファイバーレーザーに使われるような高価な光ファイバーも全壊してしまう可能性がある。 下の動画はファイバーヒューズの様子を撮影した動画である。

ファイバーヒューズの原因・特徴

ファイバーヒューズ現象で発生したプラズマはコア領域に閉じ込められた状態で、入射される光エネルギーを消費しながら光源に向かって移動を始める。プラズマ発生の直接の原因はシリカガラスの光吸収が1000°Cを超えると急激に上昇することである。これにより吸収光が熱に変換されてプラズマ(数千K)の発生に至る。また、プラズマが通った後には弾丸状の空孔が周期的に並んでいる。

下の動画は超高速カメラで撮影したファイバーヒューズ現象の連続写真である。火の玉のように見えるのは光ファイバーのコア領域に閉じ込められたまま進むプラズマであり、その背後に生じた空孔列からの散乱光が写っている。空孔列の間隔は22um。

下の動画は1480nm、5.0Wのレーザー光の注入により生成した損傷の光学顕微鏡写真。縦線の間隔は17.8um。

下の動画は、プラズマの移動速度をレーザーの強度毎に測定したものである。レーザーの強度が強い程、プラズマの移動速度が早いことが分かる。

このページは独立行政法人物質・材料研究機構の轟眞市氏のご協力により作製した。この場を借りてお礼申し上げます。轟氏の研究活動、成果についてご興味のある方は轟眞市 氏のウェブサイトをご覧下さい。

Reference and Links

  • [1] S. Todoroki: “Fiber fuse propagation behavior”, Selected Topics on Optical Fiber Technology (Eds. by Y. Moh, S. W. Harun and H. Arof), InTech, Croatia, chapter 20, pp. 551-570 (2012). (ISBN 978-953-51-0091-1).オープンアクセス版(1章,英文)
  • [2] 轟 眞市:“ファイバーヒューズ:光通信にとっての眠れる悪魔”, オプトロニクス, 31, 4 (2012).