様々なメーカーから波長分散測定システムは市販されているが[1]、[2]、実験的に分散を測定する方法として、位相法、微分差位相法、パルス法、干渉法などの方法がある[3]、[4]、[5]。これらの測定方法で分散を求める場合、セルマイヤの近似式と呼ばれる多項式で群遅延を近似してから微分することで波長分散を求めると良い。この場合、光ファイバーの種類によって用いる近似式は異なり、近似に最低限必要な測定波長の数も異なる[6]。以下、参考までに、Corningの各光ファイバーに適用する近似式と、分散パラメータD(λ)=dτ(λ)/dλ、ゼロ分散波長λD、分散スロープsDを求める式をそれぞれ示す[7]。ここで、τ(λ)は1km当たりの遅延時間であり、単位は[ps/km]である。よってτ(λ)が意味するのは群速度分散vgの逆数であり、β1と等価である。

(1)標準シングルモードファイバー用の式
(例:Corning SMF-28、SMF-28e)

(2)分散シフトシングルモードファイバー用の式
(例:Corning SMF/DS、SMF-LS)

(3)他の分散シフトシングルモードファイバー用の式
(例:Corning LEAF、MetroCor)

分散測定においては、非線形光学効果の影響が現れないように、パルスの強度を抑えて伝搬させる必要がある。以下、位相法、微分差位相法、パルス法、干渉法について簡単に説明する。それぞれの測定方法には一長一短があり、測定対象に応じて最適な測定方法を選ぶのがよい。

位相法と微分位相差法

位相法は波長の異なる複数の光源を用いて、被測定光ファイバーを通過する際の各波長における光信号の到達時間の差から波長分散値を求める方法である。具体的には、ある波長を一定の周波数で変調したときの入力と出力における位相差を読み、これを記録する。この手順を、近似に必要な波長の数だけ繰り返すことでセルマイヤの近似式を完成する。そして、波長による遅延時間β1を測定し、これをωで微分することによりβ2の値を得る。
似たような手順を踏む測定方法として微分位相差法があげられるが、これはD(λ)が線形であると仮定して波長分散値を直接測定する方法である。光源には波長差の小さな光源群を用い、セルマイヤの近似式は用いない。

パルス法

パルス法は時間領域において波長毎の群遅延時間を直接測定する方法である。各波長のパルスの到達時間の差から波長分散の近似式を完成させる。パルス法の一般的な構成図を図1に示す。ただしこの方法では、試験機器内部の遅延が既知であることが必要であり、正確な測定のためには機器の正しい校正が必要となる。この測定方法は、単に波長の異なるパルスを被測定ファイバーに伝搬させるだけで測定可能なため、容易な測定が可能という利点を持つ。ただし遅延時間を直接測定するにはかなり大きな遅延時間を必要とするため、長い光ファイバーが要求される。

図1:光ファイバーの分散測定方法の構成(パルス法)

干渉法

干渉法は可干渉光源(スーパーコンティニューム光などの広帯域光源)を用い、参照光路と被測定ファイバーを含む測定光路からなるマッハツェンダ干渉系を構成し、出力の干渉パターンから波長ごとの遅延時間を測定する方法である。干渉法の一般的な構成を図2に示す。

図2:光ファイバーの分散測定方法の構成(干渉法)

➀広帯域光源をビームスプリッタにより2つのビームに分離した後、一方は被測定光ファイバー中を、もう一方は参照光路を伝搬させる。
➁参照光路にはビームを重ね合わせ干渉させるときに時間差を合わせる必要があるために、光遅延線を通過させる。一般的に光遅延線として、空間的な遅延を設けるか、あらかじめ分散特性のわかっている光ファイバーが用いられる。広帯域光源は被測定光ファイバーを伝搬することで波長分散の影響を受け、干渉点に到達するときには波長ごとに異なる遅延を持つことになる。そのため、参照光路を通過してきたパルスと完全に時間的に一致する、つまり位相が揃う波長は特定の波長に限られる。
➂コーナーリフレクターにより参照光路長を変化させながら光スペクトラムアナライザで干渉スペクトルを観測し、干渉のピーク波長の変化を観測していくことで波長ごとの相対遅延差を導出することができる。
➃光遅延線に光ファイバーを用いた場合には、得られるデータは測定光路と参照光路で得られる遅延の差を検出することになるから、後ほど校正する必要がある。
干渉法はその名の通り干渉を利用しており、比較的小さな分散の変化を正確に測定することができるため、短尺なファイバーの分散測定に適しているといえる。ただし、光遅延線に光ファイバーを用いるときには、被測定ファイバーの分散と同様の分散特性を持つファイバーや被測定ファイバーの分散に比べて大きすぎる分散特性を持つファイバーは利用することができないので注意が必要である。干渉法はパルス法に比べて、タイミングを合わせるための精密な操作が要求される。

Reference and Links