Yb添加シングルモードファイバーを用いたコア直接励起とYb添加ダブルクラッドファイバーによるクラッド励起法をそれぞれ図1(a)、(b)に示す。

(a)Yb-SMFを用いたコア励起と(b)Yb-DCFを用いたクラッド励起
図1(a)は、励起光がコアを伝搬しながら直接励起している様子を示している。一方、図1(b)は、励起光が内部クラッドを伝搬しながらコアを励起している様子を示している。ここで使われている光ファイバーがダブルクラッドファイバーであり、その名の通りクラッドが2層構造になっている。内側(Inner)のクラッドを内部クラッド(または第1クラッド)と呼び、外側(Outer)のクラッドを外部クラッド(または第2クラッド)と呼ぶ。
内部クラッドはシリカガラスで作られており、コアを伝搬する信号光を閉じ込めるクラッドの役割と励起光のマルチモード導波路(マルチモードコアとして働く)の役割を担っている。内部クラッドは高NA(~0.46)で断面積が大きいため(直径数100μm)、内部クラッドを伝搬する励起光のパワー密度は低い。よって、クラッド励起ではビーム品質は低いが高出力であるマルチモードLDで効率的に励起することができる。外部クラッドは低屈折率ポリマー(樹脂材料)で作られており、励起光に対してクラッドとして機能する。内部クラッドのNAは高い方がよいため、内部クラッドと外部クラッドの屈折率は大きくなるように作られている。
ダブルクラッドファイバーのコアにYb3+などの希土類イオンが添加されている場合、コアを横切る励起光によりコア中の希土類イオンが励起され、信号光が増幅される(励起光から信号光増幅へのエネルギー変換)。信号増幅光は内部クラッドに閉じ込められて低NAで断面積の小さなコアを伝搬する。この時、コアのNAは低いため信号増幅光における高次モードは抑制される。NAと断面積の小さなコアから放出された信号増幅光は良好なビーム品質と良好な集光特性を持っている。
すなわちダブルクラッドファイバーは、LDからの低輝度な励起光を高効率で、高輝度のレーザー光に変換に変換するコンバータ(Brightness converter)の役割を担っている。これが高出力ファイバーレーザーの本質であり、他の固体レーザーとの決定的な違いである。
なお、ダブルクラッドファイバーは内部クラッド径と等しいコア径を持つMMFピッグテールタイプのLDや、数個のLDの出力を束ねた同じファイバー特性を持つポンプコンバイナと光ファイバー結合(融着接続)することで、小さい結合損失でクラッド励起が可能になる。
無料ユーザー登録
登録することで3000以上ある記事全てを無料でご覧頂けます。
- @optipedia.info ドメインより登録の手続きを行うためのメールをお送りします。受信拒否設定をされている場合は、あらかじめ解除をお願いします。
- Gmailをお使いの方でメールが届かない場合は、Google Drive、Gmail、Googleフォトで保存容量が上限に達しているとメールの受信ができなくなります。空き容量をご確認ください。