Er 添加ファイバーは 3 準位系であり、一般的な励起波長は 980nm と 1480nm、発振波長は~1550nm である (参考)。980nm 励起は 1480nm に比べ、励起光を信号光に変換する際のパワー変換効率が低く、吸収スペクトルの幅が狭い。
Er ファイバーの利得係数を大きくするためには、Er3+ イオンの添加量を増加させる必要があるが、Er 濃度を高めていくと濃度消光により励起効率が低下する。濃度消光が起こる Er 濃度は純 SiO2 ホストの場合、数百 wtppm 程度である。濃度消光の抑制効果がある Al を共添加した Al2O3 − SiO2 ホストの場合でも 1000wtppm 程度と言われており、そのため Er3+ イオンの高濃度化による利得係数の向上には限界がある。これは、Er3+ イオンの密度が増加することで Er3+ イオン同士がクラスタリングを形成し、イオン間距離が短くなり、イオン間の協同アップコンバージョン (4I13/2 に励起された 2 つの Er3+ イオンが接近すると、1 つは 4I9/2 に励起され、もう 1 つは基底準位に脱励起されることが起こることに起因する。この様子を図1(a)に示す。
しかし、Er と共に Yb を共添加した Er:Yb ファイバーは、濃度消光に起因する Er 添加濃度限界を向上させることが可能である (濃度消光の抑制)。これは、 Er3+ イオンの周りに同程度の半径の Yb3+ イオンが複数個配位してクラスターを形成し、Er3+ イオン同士の距離が拡がるためである。また、Yb3+ イオンの広い吸収帯を励起波長に利用することができる。
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