光が物質中を伝搬するとき、物質に複屈折があると偏光状態が変化する。複屈折とは物質が偏光方向によって異なる屈折率を持つ現象である。一般にシングルモード光ファイバー(SMF) は円形の断面を持っているため、どのような偏光状態の光でも伝送できるが、光ファイバーのコアの僅かな歪みや外部からの応力(環境的な温度変化や機械的な振動)などで生じるランダムな複屈折の影響により、光ファイバーを少しでも動かすと内部の光の偏光状態が変わってしまう。

偏光とは

光をその進行方向に対して垂直な断面で見たときに、電界または磁界ベクトルがある決まった方向で記述できる場合、その光を偏光と呼ぶ。太陽光などの自然光は偏光でないのに対し、レーザー光は偏光である。ファイバー中での光の伝搬を考えるにあたって偏光という概念は重要である。図1に偏光の概念図(直線偏光の直交した2 つの成分)を示す。

直交した2 つの成分Ex とEy で示される直線偏光

図1:直交した2 つの成分ExとEyで示される直線偏光
(a)Y-Z 平面から見た直線偏光(b)Z 方向から見た直線偏光

SMFといえどもただ一つのモードが存在するわけではなく、SMFは互いに直交する2つの直線偏波モードLPx01とLPy01を伝える。コアが真円である理想的なSMFに外力が働かない場合、2つのモードは縮退して伝搬定数の区別がつかない。しかし,実際はコア自身のわずかな非円や外部からの熱や機械的な作用により、モードの縮退が解け、偏光成分がランダムに混合される。これにより、入射端と出射端での偏光状態は保持されず、直線偏光は通常のSMFを通ると伝搬定数の差に起因する位相差のため次第に楕円偏光になる。

直線偏光

まずは直線偏光(Linearly polarized light)について考えてみる。波が伝搬するにつれて、横(Y-Z 面)から見ると波は曲がりくねって見える。しかしながら波が自分の方向に向かうようにZ方向からX-Y面を見てみると、図2に示すように電場の波は垂直な直線上を動いている。波の偏光状態は電場ベクトルの方向と位相によって決定される。偏光を記述するために、波をXとY軸に投影すると、ExとEy成分の和として定義できる。これらの成分が同じ方向に伝達され、お互いが直交して同じ位相であれば直線偏光となる。

直線偏光の概念図

図2:直線偏光の概念図

円偏光と楕円偏光

直線偏光以外の偏光状態に、円偏光(Circularly polarized light)と楕円偏光(Elliptically polarized light)がある。ExとEyとの2つのベクトルの振幅が同じかつ位相が90 °ずれている(一方が最大振幅の時,他方が0となる) 場合は円偏光となり、ExとEyベクトルが任意の位相と振幅をとる場合には楕円偏光となる。図3に円偏光と楕円偏光の概念図を示す。直線偏光と円偏光は、楕円偏光の特別な状態と言える。

円偏光と楕円偏光の概念図

図3:円偏光と楕円偏光の概念図

Reference and Links