厚生労働省のレーザー光線による障害防止対策要綱により、400~700nmの波長以外のレーザー光線を放出するクラス3Rのレーザー機器とクラス3B、クラス4のレーザー機器を使用する際には保護メガネの着用がうたわれている。

光響製 レーザー保護メガネ

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レーザー保護メガネは最終手段

クラス3R以上のレーザーを扱う場合はレーザー保護メガネを常に着用しているのが望ましい。しかし、レーザー保護メガネはレーザーによる眼の損傷を防止する最終的な手段と考えるべきである。使用するレーザー機器や周辺環境を整備し、使用者がレーザーの暴露を受ける機会をできる限り少なくすることはもちろんのこと、使用者に対する安全教育が十分になされなければならない。

レーザー保護メガネの正しい選定方法

レーザー保護メガネの役割

レーザー保護メガネの役割は”通常の散乱光からの保護”と”万一誤ってレーザービームが直接照射されるような事態が発生した場合にその状態から回避する時間内での保護”の二つに分けることができる。前者のレーザー保護メガネには、側面からのレーザーの進入を考慮した側面シールドつき枠に、プラスチック製吸収フィルタを装着したものや、ゴーグルタイプが対応する。一般的には軽量かつ比較的視野角の広いサングラスタイプのものが使われる。後者のレーザー保護メガネには、直接暴露光を前提とした堅牢なつくりの枠に、飛散防止を施したガラスフィルタを装着したものが対応する。両者のレンズフィルタはレーザーを遮光する光学濃度が同じであっても、直接レーザーに暴露した場合は後者のタイプのものが有利である。

レーザー保護メガネの選定手順

レーザー保護メガネを正しく選択するために必要な手順を下記に列挙する。

  1. レーザー出力波長の確認
  2. レーザー出力の確認
    ・CWの場合:出力
    ・パルスの場合:パルスエネルギー、パルス幅、パルスの繰返し周波数
  3. MPEの算出
  4. 最大暴露光持続時間の決定
  5. 最大放射露光量の算出
  6. 必要光学濃度の算出
  7. 可視光レーザーの場合はビームを見る必要の有無の確認
  8. 保護メガネの形状の選択(矯正メガネの着用の有無)

MPE(最大許容露光量)とは?

MPEは直接照射された場合、障害が発生する確率が50%と推測されるレーザー出力の1/10の強度と定義され、人体にとっての一つの安全レベルを示す数値である。MPEはレーザーの波長と露光時間の2つの軸で定められるが、MPE値は規定の面積でならしたパワー密度(W/m2)またはエネルギー密度(J/m2)で与えられるので注意を要する。この面積は限界開口径で与えられ、障害の種類等を考慮して、波長、目や皮膚、露光時間などで値が異なる。

最大放射露光量

レーザービームが収束しないで限界開口より大きければ、最大放射照度(放射露光)値はレーザーの出力をそのレーザービームの面積で割った値となる。レーザービームを収束できるような光学装置を使用してレーザービームが限界開口よりも小さい場合は、実効放射照度、実効放射露光はレーザーの出力を限界開口の面積で割った値となる。

※限界開口、実効放射照度、実効放射露光については後日説明を付け加える。これ以上の詳しい情報は「JIS C 6802:レーザー製品の安全基準」を参考。

レーザー保護メガネ選定の基本的な考え方

レーザー保護メガネ選定の基本的な考え方は、一部のクラス3R、クラス3B、クラス4のレーザーをフィルタによって吸収や反射させ、クラス2のレベルまで減衰させることを考える。これがレーザー装置からみた安全の考え方で、レーザー放射の大きさから必要な減衰率を計算し、レンズに必要な光学濃度を求めるのである。

レーザー保護メガネに求められる光学濃度ODはレーザー放射の大きさをAとすると、OD=log(A/MPE)で表される。 ただし、この計算はレーザービームが直接レーザー保護メガネに当たった場合を想定しており、レンズが破壊されないことが前提である。しかし、レーザーの出力が大きい場合、実際保護メガネには溶解、変形、発煙、炭化、燃焼などの変化が現れ、大きく穴が開くものもある。よって、保護メガネを選ぶ際にはフィルタの耐久性にも注意を払わなければいけない。

光学濃度は大きいほうがいい?

MPEと放射露光だけを考慮してレーザー保護メガネを決定してしまうのは誤りである。例えば、高い光学濃度のレーザー保護メガネを使用すると可視光レーザーの光軸調整が困難になる。このとき光軸調整のために保護メガネを外すと危険である。よってレーザー保護メガネは適切なものを選ぶのがよい。

Reference and Links

  • 財団法人光産業技術振興協会(https://www.oitda.or.jp/)
  • 実用レーザー加工応用ハンドブック、オプトロニクス社編集部編
  • レーザー光線による障害防止対策要綱
  • 株式会社 理研オプテック、レーザー保護眼鏡の選び方(PDF)

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