誘導ブリルアン散乱(SBS:Stimulated Brillouin Scattering)[1-3]は、入射光、ストークス光、及び音響フォノンの非線形相互作用として記述される。光ファイバー中にSBS閾値近傍の短パルスレーザーが入射した場合、及びSBS条件を満たすロングパルスレーザーが入射した場合のSBS が発生する様子を図1(a)、(b)に示す。

SBS閾値付近の短パルスレーザーが入射した時

図1:(a) SBS 閾値付近の短パルスレーザーが入射した時。(b) SBS条件を満 たすロングパルスレーザーが入射した時

図1(b)に示すように光ファイバー中に強いコヒーレント光が入射すると、その入射光により音響フォノンが発生し、屈折率の周期的な変調(回折格子) を作り出す。回折格子により入射光はブラッグ反射し戻る。回折格子が音速VAで動いているため、入射光の後方散乱光(ストークス光)はドップラーシフトにより低周波側にシフトする[4]。SBSは入射光の散乱光が誘導放出効果により強いコヒーレント光となる。周波数シフトは、入射光とストークス光の波長の差分で示され非線形媒質により決まる。これを式にすると

入射光とストークス光の波長の差分

で表される。ここでνiは入射光の周波数、νsはストークス周波数、n はファイバーの屈折率、λiは入射光の波長である。シリカガラスの場合は、音速VA = 5.96[km/s] およびn = 1.45であり、λi= 1064nmに対してはνBが16.2GHzとなる。

SBSはSRSと同じ非線形散乱であるが、SRSはストークス光が前(θ = 0)と後(θ = π)の両方向に伝搬しうるのに比べ、SBS のストークス光は後向きに伝搬する。また、SBSのストークスシフトはSRSのそれに比べ3桁小さい~10GHz程度である。

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