誘導ラマン効果(stimulated Raman effect)とは

水素などのラマン活性物質に光を照射するとラマン散乱光が発生する.通常,光源には輝度の高いArイオンレーザーなどが利用されるが,散乱光の強度は励起光の1万分の1程度にすぎない.また散乱光は指向刊がなく,位相もそろっていない.しかし,パルスレーザーなどの尖頭出力の高い光源を用いると,レーザーと同軸上に指向性を持つコヒーレントなラマン散乱光が発生する.これを誘導ラマン効果(stimulated Raman effect)と呼んでいる.誘導ラマン効果はレーザーの波長変換によく利用されているが,従来の結晶を利用する第二高調波・混合波発生では発生困難な真空紫外域では特に有力な方法となっている.ラマン物質としては,水素,重水素,メタン,窒素,酸素などがよく利用されている.