誘導ブリュアン散乱(stimluated Brillouin scattering:SBS)とは

レーザー光のように強い電磁波を媒質中へ入射すると,入射光によって散乱光および自然に存在する音波のうち,位相整合条件(運動量保存)を満たすモードが励起され,散乱光が増幅されて振動分極が発生する.結果として後方散乱光が強く励起される.これがSBSである.この媒質中に発生する密度分布は,音波の波長を周期とする規則的な粗密度であり,入射レーザー光に対して回折格子(ブラッグ反射体)として作用する.非線形媒質中で発生した過渡的回折格子のパターンは,入射光の時々刻々変化する波面と同じパターンを生成することから,入射光と反射光の波面は共役関係となり,位相共役光が災現される90%近い反射光はエネルギー保存則から音波周波数だけダウンシフトした周波数を持つがレーザー用の位相共役鏡の代表例である.