トンネルイオン化(tunneling ionization)とは

強度の高いレーザー光が原子や分子に照射されたときにできるクーロンポテンシャルの障壁を,原子や分子中の束縛電子がトンネル効果で透過して自由電子となる現象.原子や分子の空間的な広がりよりも光の波長が長いこと,およびそのクーロン電界と同等かそれ以上の光電界(>~108 V/cm)が必要である.ちなみに,より大きなレーザーの電界によってポテンシャル障壁が基底準位以下にまで低下すると,束縛電子は障壁を越えて自由電子になる.この場合はbarrier suppression ionizationと呼ばれる.このような大きな光電界によって原子,分子,イオンの電離が進むことを光電界誘起イオン化(optical-field induced ionization:OFI)という.