超低損失ミラー(ultralow-loss mirror)とは

この名称に対する明確な定義はないが,金損失が数ppm以下という従来のミラーに対し著しく損失の小さなミラーをこのように呼ぶようになった.こういった,きわめて損失の小さいミラーは,主にリングレーザージャイロスコープ(ring 1aser gyroscope:RLG)用に開発され,1980年代の後半には10 ppmを切る程度のミラーがTiO2/SiO2(λ=0.63 μm)系で実現できるといわれるようになった.その後,RLG以外のさまざまな分野で超低損失の光学素子に対する要求が高まり,1991年にTi2O5/SiO2(λ=0.85 μm)系で1.6 μmという値がG.Rempeらにより発表され,この名称のイメージが一般化した.現在は,重力波検出アンテナ用光学素子などの開発が重要な動機となり,さらに損失の小さなミラーの開発が進められている.