チャーブパルス増幅(chirped pulse amplification:CPA)とは

超短パルス光の固体媒質を用いた増幅により,これまでになく高い尖頭強度を持つ光パルスが発生可能だが,それは増幅方式にもある制限を加える.利得結晶や光学素子の損傷,自己位相変調などの非線形現象が増幅過程で起こりうるからである.前者の損傷は固体レーザーシステムにとっては致命的な性能低下をもたらすし,後者によっても非線形な位相変調の結果,パルス波形の広がり,ひずみなどが引き起こされ,ピークパワーの低下を免れない.これを避けるため,いわゆるチャープパルス増幅法を用いることが多い.この方法は,あらかじめパルスを遅延分散路に通してパルス帽を103~104倍に引き延ばし,尖頭出力を十分抑えた状態で増幅する.その後,遅延分散路により再びパルス幅を圧縮し,高出力型短パルス光を得ようとするものである.チャーブパルス増幅法はもともと電波やレーダの分野で用いられていた増幅方式で,それを光増幅に応援したものである.→高強度レーザー,均一レンズモード同期チタンサファイアレーザー