レーザーによる表面改質(laser surface modification)とは

テフロンの名で知られるフッ素系高分子は,化学的に安定であることから,耐薬品性,耐熱性,撥水性,さらには電気絶縁性などに優れた特徴を持つ高分子材料である.しかし,表面が不活性なため,接着剤や塗料などの塗布が困難であり,ほかの材料との複合化がむずかしいという欠点がある現在,工業的なフッ素計高分子の表面改質として金属ナトリウムとナフタリンのテトラフルオロエチレン溶液からなる錯化合物溶液による化学的に表面をエッチングする方法が用いられている.この方法では,化学薬品を用いるため作業衛生上の問題,すなわち臭気や引火の危険性が高い,また処理効果が低いという欠点がある.これらの問題点を解決するために,レーザーを用いた表面改質の研究が進められている.これまで,レーザーアブレーションを利用した接着性付与や親水性および親油性付与,金属めっき処理などの研究が報告されている.