レーザー分光(laser spectroscopy)とは

分光法は,分子や原子のエネルギー準位間の遷移による発光や光吸収を利用した分析法である近年のレーザー技術の発達により,光吸収や励起に用いる光源として,高輝度,挟線幅で,さまざまな波長のレーザーを用いることが可能になり,より高感度,高分解能の分析が可能になってきたレーザー分光は,主に,物理,化学,天文などの分野において,分光スペクトルの解析を通して,電子軌道,励起ポテンシャル,分子構造,反応素過程など基礎的な物性解析をおこなう手段として活用されてきた.1980年代中頃より,工業分野において用いられる半導体処理用プラズマの解析および診断を目的として,大学などを中心に,膜堆積プロセスに用いられるシランやメタン系のプラズマ,エッチングプロセスに用いられるフロンやハロゲン系のプラズマへの適用が検討されてきた.これらの検討により,プロセスプラズマ中のさまざまな解離化学種(ラジカル,イオン)の密度,温度,空間分布,時間変化などを精度良く分析しモニターすることが可能になった.また,プロセス特性との対比を通して,半導体処理用プラズマプロセスの開発ならびに制御の研究にも活用されるようになってきた.