レーザーガイド星 (laser guide star)とは

別名「人工星(artificial star)」と呼ばれており,レーザー光(ビーム)で地球上層大気を照射して人工的に生成された星と等価な点光源に近い状態の光スポットをいう.地上の大型望遠鏡で宇宙を観測する場合,大気のゆらぎの影響で光波面(位相)が乱れ,画像がぼやけて本来の分解能が得られない.ゆらぎの効果を補正する最新技術の補償光学(adaptive optics)などでは参照光源が必要であり,対象物近くの恒星が用いられるが,必ずしも適当な星が存在しないので代わりに用いるために考案された.現在,高度約95 km付近に存在するNa層をNa-D線に波長同調させたレーザー光で照射する共鳴散乱を用いる方式と,成層圏下部の中性大気をパルスレーザー光で照射するレイリー散乱を用いる方式とがある.