もつれた状態(entangled state)とは

粒子1がa状態,粒子2がb状態にいるとき,量子力学ではこの2粒子の状態はa,bの波動関数の積で表される.その場合,量子力学ではこれと同時にa,bを逆にした状態(a,bを交換した積の状態)も許される.したがって,全体の状態は前者の積の波動関数と後者の積の波動関数の和で表される.ここでa,bはスピンの上向き下向き,光子の二つの直交偏光,二つの粒子の位置座標,あるいは同じく運動量などが対応する.このように2粒子(あるいはそれ以上の粒子)の状態がそれぞれの状態の単なる積では表されない状態を「もつれた状態」という.そのような状態を発生させるためには,同時にa,bのような二つ以上の状態の発生を許す相互作用(パラメトリック下方変換もその一つ)が必要である.この2粒子が遠く離れた場合に量子力学特有の奇妙な相関(遠隔作用,パラドックス)が生ずる.これが「もつれた状態」が注目きれるゆえんである.