高温超伝導体(high-Tc superconductor)とは

1986年にベドノルツとミュラーが発見したLa2-xBaxCuO4をきっかけとして登場した層状ペロプスカイト型構造を基本とする酸化物超伝導体の総称である.初めて液体窒素温度を超える超伝導転移温度を実現したYBa2Cu3O7や,わが国で発見されたビスマス型起伝導体,加圧下で150 Kを超える転移温度を有する水銀系超伝導体が知られている.冷媒として取扱いの容易な液体窒素を利用できることから,低消費電力超高速の超伝導エレクトロニクスや,周電力省資源のためのエネルギー応用が期待されている.高周波応用としては,超伝導接合を用いた電磁波の超高感度検出や放射の研究が進められている.しかし,超伝導コヒーレンス長が1.5 nm程度と従来の金属起伝導体にくらべて極端に短いため,超伝導特有のジョセフソン接合作製のためには原子レベルでの構造制御が必要であリ,実用化までには多くの課題がある.