プラストシアニン(plastocyanin)とは

クロロフィルを持つ高等植物や藻類の葉緑体中に存在する分子量約21000の銅タンパク質.光合成の電子伝達系において光化学系IIのチトクロムbf複合体から光化学系Iへの電子の授受をおこなっている.600 nm近傍に現れる強い吸収帯(ε>3000 M-1cm-1)で特徴づけられるブルー銅タンパク質の一種.この電子遷移はアミノ酸配位子のシステインのチオラートから金属の銅イオンへの電荷移動遷移であると同定されている.青色を呈するのは酸化型(Cu2+)であり,還元型は無色透明である.さまざまな分光学的研究やX線の構造解析から中心の銅イオン周辺の環境はひずんだ四面体型をしていることがわかっており,通常の銅錯体にくらべ特異な構造をとっている.また,この活性中心の構造は,酸化型,還元型とアポ型(銅イオンを抜いたもの)でほとんど変化がない.