光化学的表面改質(photochemical surface modification)とは

材料表面の所望の場所に紫外線を照射し,そこに特定官能基(化学種)を置換し,その材料内部の特質は維持したまま,表面の露光部のみ性質を変える手法.一般に材料の性質は表面の官能基が支配的である.分子構造の末端に-OH,-COOH,-NH2などの官能基を有する材料は親水性を示し,-CH3,-C2H5,-C6H5などを有する材料は親油性を示す.この処理をおこなうには,まず材料表面を構成している分子から末端原子を引き抜き,そこに官能基を置換しなければならない.この処理を最も効果的におこなうには,一方は末端原子の引き抜原子として,他方は置換されるべき官能基として光分解できるような化合物を,被処理表面にあらかじめ用意しておくことである.この化合物と被処理材料表面とを同時に光励起することによって,材料表面の露光部分のみで,引抜き反応と置換反応とが同時に起こり,光表面改質が完了する.