X線顕微法(X-ray microscopy)とは

広義には蛍光や光電子を検出する手法も含むが,X線の透過強度を観測して微細構造の像を得る手法を指す場合が多い.元素はそれぞれ特有のX線吸収スペクトルを有しているのでX線波長の選択により特定の元素に注目した観察ができること,透過力が高いので厚い物質が観察できること,粒子ビームにくらべて損傷が小さいことなどが特徴である.炭素の吸収係数が大きく,酸紫の吸収係数が小さな2.4~4.3 nmの波長域のX線(水の窓)を用いればほとんどが水からなる生物試料の構造が観察でき,生物学研究で強く要望されている生きた状態の生物試料観察を可能にする手法としての期待が高い.軟X線多層膜鏡やX紙レーザーの短波長化の当面の目標も4.3 nmに設定されている.