【10cm口径超高反射率ミラーの国産化】

  右に示したものはこのような活動の結果、TAMA300用に開発した口径10cmの超高反射率ミラーの外観写真です。これはPMS社了解の下で国産化した大口径ミラーでした。皆さんが普段なじんでいるミラーに比べてミラー基盤が厚いことに気がつくでしょう。ミラー口径と厚みは、基板の固有振動数から、なるべく振動が重力波検出に影響しないようなアスペクトにしてあります。300m干渉計では口径10cm、3km干渉計になるとミラー口径は30cmとなります。さらにそれらを振動雑音から防ぐために、真空層の中でワイヤーで吊すことになります。3km干渉計であるLCGT(後のKAGRA)では極低温までミラーを冷却しますが、その冷却も吊しているワイヤーを通じて行なうので、サファイアファイバーを使う必要があります。ミラーも懸架ファイバーも雑音源となるため、機械的散逸が極力小さい材料とする必要があり、低温サファイアが最適となります。残念ながら、巨大なサファイア基板は日本では経験がなく、現在は米国製を使っています。昔、旧ソ連が開発した巨大サファイアは製作後、1年以上経った後、内部応力に耐えきれず、自己崩壊でクラックが入ることもありました。どこでも人類はじめて、というのは難しいものでした。

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