【我が国の重力波検出計画】

 重点領域研究に始まった我が国の重力波検出計画は右に示したとおり、重点領域研究と新プロ計画では要素技術の開発と同時に、おのおの20m干渉計、TAMA300 300m干渉計を国立天文台に建設し、実際に1000時間連続運転で観測することにも成功しました。国立天文台の近くには東八道路があり、重いダンプが走るとレーザーと干渉計のロックが外れるので、ロックをつなぎ直したりして、東京ならではの環境を利用して技術開発をしました。その間、日本全国の調査を行ない、将来を見越した極低温レーザー干渉計を地面振動を1/100に抑えることのできる神岡サイトに建設するのがベストだという結論を出しました。ちょうど、国立大学の独立行政法人化という歴史の変わり目にぶつかった結果、大学からの概算要求ができない時期にぶつかって、大型重力波研究はかなりのブランクを余儀なくされました。学術会議を通じて大型科学研究の再開が認められるようになると、その第一期として、神岡にLCGT(後にKAGRAと命名)大型重力波アンテナの建設が始まったのです。地上の重力波アンテナだけでなく、欧米のLISAという超長距離宇宙重力波アンテナ(L=500万キロメートル)との間をつなぐ低周波重力波検出のための宇宙重力波望遠鏡DECIGO(L=1000km)も計画しています。筆者はこれらすべてに関係してきましたが、一般相対論の直接検証だけでなく、重力波が本当に光速で伝播するのかを精密に計測することで、超ひも理論などで議論されている我々の宇宙に隠された次元の解明にも、重力波研究は重要な役割を果たすと期待されています。そのためには、まず最初に極微の空間歪みを検出する感度を実現する必要があります。

 

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