電気と同じようにコンセントにつなげば使える加工用レーザー

 考えてみれば当然で、我々は電力を使って機械を動かし、様々な加工をしているが、作業場に発電機があれば邪魔で仕方がない。電線さえ繋げば電力が使えるから出来は便利なのだ。蒸気機関や内燃機関との大きな違いがそこにある。ならばレーザー利用のあるべき姿は、電気と同じようにファイバーで分配され、発電所または変電所に相当する高出力レーザーパワーステーションは工場の片隅にあればよい。その点から発想すれば、どのようなレーザーがあるべき姿かが見えてくる。我々は必要に応じて出力を増強できるジュークボックスのようなレーザーステーションを考えた。配送用ファイバーに直接接続されるディスク状のレーザーをファイバーを素材として作ればよい。ゼロからの発想は、日本には珍しく概念先行で始まり、必要な技術は後から考えることで始まった。コンセントにつなげば動く電気機器と同じように、ファイバーコンセントに接続すれば高出力レーザー加工が可能になるファイバーレーザーの実現があるべき姿として登場した。
 ジュークボックス概念から発想されるのはファイバーを埋め込んだCD、今でいえばDVDのようなディスクを挿入するイメージだが、実際は電子回路の基板のようにラックに挿入すれば必要に応じて出力増強ができる未来図が描ける。実際、直径125ミクロン、コア径5ミクロンの単一モード標準ファイバーの場合、直径12cmのCDサイズでは、長さ100 mのファイバーレーザーでも、外周の4-5 mmを融着すれば足りるので、ファイバーレーザーとして長さは十分であった。当時描いた模式図は図にあるように、ファイバーが巻き込まれた円環状ディスクに励起光の導入ポートがついたもので、ちょうど、放射光施設SP-8等の模型と同じ形をしており、いかにも有望に思えた。実際に、LDバーを配置して作り上げたファイバーディスクレーザーは外観で空飛ぶ円盤のように見えて、いかにも未来的であった。
 レーザーパワーステーションから供給されたレーザー光をファイバー供給網を切り替えたり、合流させたりして、必要な加工現場に最適供給するという考えは、最近、TrumphなどThin Disk Laserのメーカーもファイバーネットワークの切り替え技術の開発をしている。当時、考えたこの図のような考えは必然であると同時に、今でも未来的だといえる。

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