多ビーム出力ファイバーレーザーからコヒーレントビーム結合への展開
1999年12月東大の極限レーザー研究センターは物性研の柏移転に先立って柏キャンパスに移転し、その開所記念シンポジウムに招待された。物性研の極限レーザーグループとは電子ビーム励起 KrFレーザーシステムの開発当時から良きライバル関係であったが、渡部俊太郎さんは超短パルス Ti:sapphireレーザーを使った高次高調波発生などで新しい世界を切り開いていた。光科学の新しい世界を議論するための講演を東大の五神教授などと一緒に依頼された。そのとき、私が提示した将来像は図の通りで、多ビーム出力ファイバーレーザーからコヒーレント結合への展開、というもので、21世紀型のレーザーが挑戦するべきなのは、単なる高出力化、超短パルス、高ピーク化技術ではなく、レーザーのコヒーレンスを活かした本来のレーザー技術、コヒーレント結合だと主張した。もちろん、その背景にはファイバーレーザーを通じて得た多ビームの方がレーザー本来のあるべき姿だという考えがあった。ファイバーを束ねて固体レーザー化すれば、糸巻きのようになって、咲いて貴重を考えると、沢山の出力が固体レーザーから出てくるのは必然だし、LDアレイも1次元から2次元出力になればそれらをコヒーレント結合する必要が出てくる。実際、当時、Volume Bragg Gratingが開発され、3次元的な光誘起回折格子でコヒーレント結合するという報告もあった。また、日本とは異なる形の表面発光LDを開発していた米国では、半導体素子をつないでリング共振器を作り、LD増幅器の間に設置したブラッグ格子で半導体基板から垂直に多ビーム出力させることに成功していた。これらを使って21世紀のレーザー技術はコヒーレント加算だと主張した。レーザーが発振して以来、レーザー研究者の夢は原子と同じようにレーザー出力をコヒーレントに結合することで、いよいよ準備が整いつつあるように考えたのであった。
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