側面励起ファイバーレーザーの輝度拡大則

側面励起ファイバーレーザーの輝度拡大則

 励起光からレーザー発振に変換する過程の輝度圧縮率を計算すると、通常の端面励起固体レーザーやコア励起ファイバーレーザーは発振モード内を励起するため、輝度拡大率MはM=1となる。一方、クラッド励起の優れた点は大きなクラッド断面積を励起して、細い中心クラッドから出力するので、断面積比だけ拡大して、M=1000程度となる。
 この拡大則を太陽光励起、すなわち長大なファイバーレーザーの側面励起に適用すればどうなるだろう。宇宙空間で太陽光を受けるために長さ5km位のファイバーを使って集光アンテナを作ったとすれば、その輝度拡大則は10の9乗にもなる。桁違いの輝度圧縮率が可能になるのであって、これは光の質の変換器としての能力がそれだけ高いことを意味している。
 このように長大なファイバーを使ったとしても、コア径5ミクロンでは太陽光の吸収率はゼロに等しい。ただ、そこが太陽光励起の有利なところであって、太陽には我々が電力を供給しているわけではないので、いくら吸収効率が低くても、レーザー発振すれば効率は問題ない。
 実際の条件で計算したところ、単純な太陽光励起では、太陽が3個必要となることが分かった。それに対して、クラッド部に色素を添加したり(霜田先生)、グリーンハウス効果空洞(J-F.Bisson)、V溝ミラー(植田)などのアイデアが提供された。このような低励起密度の極端条件はレーザーの本質を考える別の視点を供給してくれる場でもあった。

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