IPG Gapontsevとの議論 拡大則を保証する技術
ここで少し違った視点の情報を提供しよう。
ファイバーレーザーの巨人であるIPGはもともとロシア科学アカデミー出身の企業で、ソ連崩壊後、たくさん作られた企業の中での最大の成功例である。そのリーダーはV. Gapontsevであり、当初はベル研究所と協力して光通信用ファイバー増幅器の研究などをしていた。しかし、ベル研究所が独占禁止法で解体され、米国民間企業に光通信技術の中心が移動した結果、彼らは光通信以外に生きる道を見つける必要に迫られ、産業用高出力ファイバーレーザーの開発に方向転換し、大成功を収めたのである。
ファイバーレーザーの高出力化を構想していたとき、Gapontsevとは毎年のように会議で顔 を合わせ、意見を闘わせた。彼と私の違いは、LDバーか単一ストライプ型LDか、というLDに関する選択の問題であった。当時、単一ストライプLDの出力は1 W程度、ファイバー結合型の出力はさらに少ない。それで1 kWのファイバーレーザーを開発しようとすると、最低でも2000本のファイバー結合型LDをファイバーに融着しなければいけない。大学の研究者である私は物事を技術よりは概念的に乗り越えることを好み、将来的に大出力化することができ るバー型LDを励起源にすることを選択した。100 W以上の高出力化が容易で、かつ、電子技術の大量生産技術がそのまま利用できたからだ。アポロの法則からすると、励起用LDの個数が膨大に増えることでエラー発生率が増大し、安価な大量生産に向いていないとGapontsevに意見した。これに対する答えは、ファイバー融着も電子技術と同じくロボッ ト化できるし、やってみせるということだった。私はシリコン技術とガラス技術は同じではないと考えたが、彼らは確かにやってのけた。IPGは技術で問題を解決した。どこまで技術開発が可能なのか、それは実際に挑戦しているものしかわからないのだろう。
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