ファイバーディスク製作のための巻き取り装置
当初、つりに使うリールで一層に揃えてファイバーを巻き取れば、ファイバーディスクができると簡単に考えていた。そして、巻き取ったファイバーディスクを高温炉で融着すれば石英製のファイバーディスクが完成する。まさに素人考えで、ことは簡単ではなかった。
温度の高い状態で石英ファイバーを巻き取れば、軟化点と溶融点の温度差が大きな石英ファイバーは柔らかい液体のような状態で巻き取られながらくっついてくれると期待したが、その条件制御は困難で成功確率は低く、うまくいかないことが多かった。少しでも硬すぎると、巻き取る間にファイバー間に摩擦が生じ、そこから傷が入って、ファイバーは折損することが多かった。ファイバーにポリマーコーティングがなされていることは、ファイバーを線引きするために必要なプロセスだと思い知らされた。特に最初は、ディスクを作るために、正方形断面のファイバーを線引きすることが難しかった。正方形の角に応力集中し、ファイバー折損が発生した。ここでもファイバー線引き過程はまさに流体力学の世界であることを学ばされた。
それでも HOYAは頑張って矩形ファイバーを巻き取って、図のように整然と並べることに成功した。コアとクラッドが見えている。ここで石英融着が可能な高温炉に入れて、仮についているように見えるファイバーディスクをきっちりと融着することを試みたが,良い結果は得られなかった。
結局、再検討した結果、線引き過程を含めてポリマーコートの重要性を再認識し、極薄2-3ミクロンの低屈折率ポリマーでコーティ ングしたところ、線引き過程における折損事 故は激減した。さらにファイバーディスクと冷却板の間にも低屈折ポリマー(n=1.33、厚さ7ミクロン)をコートした方が密着性が高まり、かえって冷却効率が上がることも分かって、図のようなポリマー塗布装置を開発した。新しい概念を実際のものに仕上げるには、やはり試行錯誤が必要で、失敗を改善しながら技術は進歩することを勉強した。
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