LIDAR(Lidar、LIDAR、LiDAR、LADARとも表記されるが、本稿では「LIDAR」に統一する)は、ターゲットにレーザ光を照射してターゲットまでの距離を測定する測量方法である。LIDARという名前は、時にはLight Detection And Ranging(光の検出と測距)の頭字語とも言われている(もしくはLight Imaging、Detection、Ranging)。もともと光(light)とレーダー(radar)を混ぜた造語であった。LIDARは高解像度の地図を作成するために広く使われている。測地学、地理情報学、考古学、地理学、地理学、地震学、林業、大気物理学、レーザーガイダンス、空中レーザ測地図(ALSM)、レーザ高度計など広い分野で使われる。レーザースキャン、3Dスキャンと呼ばれることもあり、地上、空中、および可動性のアプリケーションがある。

目次

•1 歴史と語源
•2 概要
•3 構成

•4 応用の種類
o4.1 空挺型LIDAR
o4.2 地上型LIDAR

•5 応用
o5.1 農業
o5.2 考古学
o5.3 自律車両
o5.4 生物学および保護
o5.5 地質学と土壌学
o5.6 大気リモートセンシングと気象学
o5.7 法執行
o5.8 軍事
o5.9 鉱業
o5.10 物理学と天文学
o5.11 岩盤力学
o5.12 ロボット工学
o5.13 宇宙飛行
o5.14 測量
o5.15 交通
o5.16 ウィンドファームの最適化
o5.17 太陽光発電配備の最適化
o5.18 ビデオゲーム
o5.19 その他

•6 代替技術

1.歴史と語源

LIDARはレーザの発明直後、1960年代初めに始まり、レーダーが信号を返す時間を測定することによって距離を計算する能力とレーザの集束イメージングを組み合わせることで生まれた。LIDARは気象学で使われ始め国立の大気研究センターが雲を測定するために使用していた。一般的にシステムの精度と有用性が知られるようになったのは、1971年にApollo 15で宇宙飛行士がレーザ高度計を使って月面地図を制作した時である。「LIDAR(lidar)」は一説によると頭字語と言われているが、もともとは光(light)とレーダー(radar)を混ぜた造語である。LIDARという言葉が最初に出版物で発表されたのは1963年であり、明確にこれを裏付けるものである。それには「レーザは、遠方の物体からの特定の波長を検出できる、極めて敏感な検出器に応用し得る。一方、それは ‘LIDAR’(光レーダー)によって月を研究するために使われている…」とあり、Oxford English Dictionaryはこの語源を支持している。頭字語(「LIDAR」)としての「LIDAR」の解釈は1970年に始まり、根拠として挙げられるのは、用語「レーダー(radar)」は「RAdio Detection And Ranging(無線の検出と測距)」の頭文字で有るため「LIDAR(LIDAR)」は「LIght Detection And Ranging(光の検出と測距)」もしくは「Laser Imaging, Detection and Ranging(レーザーイメージング、検出と測距)」の頭文字であるという論である。英語では現在、「radar(レーダー)」を頭字語として扱わず、印刷物においては普遍的に小文字であるが、1980年代からいくつかの出版物では、「lidar(LIDAR)」という言葉を「LIDAR(LIDAR)」と大文字で印刷している。現時点では「LIDAR」が頭字語であるか、また頭字語であるなら「レーダー」のように小文字で表示するべきかの不確実性を反映して、全て小文字で書かれる。様々な出版物において、LIDARは「LIDAR」、「LiDAR」、「LIDaR」、または「Lidar」と表記されている。 USGSは 「LIDAR」と 「lidar」の両方を、時には同じ文書中で使用している。New York Timesは 「lidar」と 「Lidar」の両方を使用している。

2.概要

LIDARは、紫外線、可視光、または近赤外光を使って物体を撮影する。これには、岩石、雨、化学化合物、エアロゾル、雲、さらには単一の分子でさえも含まれる。細いレーザービームは、物理的特徴を非常に高い分解能で写像することができる。例として、航空機は地形を30cm以上の解像度でマッピングすることができる。LIDARは大気の研究や気象学において広く使われてきた。最近の米国地質調査所実験空中調査LIDAR(U.S. Geological Survey Experimental Advanced Airborne Research Lidar)等にみられる、航空機や衛星に取り付けられたLIDAR計測器は測量とマッピングを実行する。NASAは、LIDARが将来のロボットやクルーの月面着陸車両の安全で正確な自律着陸を可能にする、重要な技術だと認識している。波長はターゲットに合わせて、約10マイクロメートルからUV(約250nm)までの範囲で変化する。通常、光は後方散乱によって反射される。使用される散乱のタイプはLIDARの用途によって異なる。一般的には、レーリー散乱、ミー散乱、ラマン散乱、および蛍光が使われる。後方散乱の種類に基づいてLIDARの名称は変わり、レイリーLIDAR、ミーLIDAR、ラマンLIDAR、Na / Fe / K蛍光LIDARなどと呼ばれる。大気中の内容の遠隔マッピングは波長の適切な組み合わせと、戻り信号の強度における波長依存性の変化を識別することによって可能となる。

3.構成

一般にLIDAR検出方式には2種類ある。
「インコヒーレント」または直接エネルギー検出(主に振幅測定である)とコヒーレント検波(これは、ドップラーまたは位相感度測定に最適)である。コヒーレントシステムは一般的に光ヘテロダイン検出を使用し、直接検出よりも感度が高いため、はるかに低い電力で動作することができるが、より複雑なトランシーバ要件を犠牲にすることになる。
LIDARの構成は大きく二種類に分けられる。一つはマイクロパルスLIDAR (micropulse lidar) システム、もう一つは高エネルギー (high energy) システムである。
マイクロパルスLIDARは、レーザ技術の進歩とコンピュータの演算能力の驚異的な向上とが組み合わされて可能となったものである。比較的低出力(1ワットのオーダー)のレーザを用い、しばしば、「目に優しい」(eye-safe)システムと呼ばれる。目を防護し失明を回避するための予防措置をとらずに用いうるからである。
高エネルギーシステムは大気の研究では一般的である。雲の高さや層構造、雲の粒子の性質(消失係数 extinction coefficient、後方散乱係数 backscatter coefficient、偏光解消度 depolarization)、温度、圧力、風、湿度、微少な気体の濃度(オゾン、メタン、窒素酸化物など)などの大気のパラメタを測定することができる。

次に、LIDARを構成する要素を挙げる。

1. レーザ
科学研究以外の分野では波長 600-800 nm のレーザが最も一般に用いられる。安価で大出力のものが得られるが、「目に優しく」はない(失明の可能性がある)。「目に優しい」ことは軍事利用ではしばしば必要となる。1550 nm のレーザは「目に優しい」が、十分な出力のものを得るのが難しく、一般的ではない。航空機搭載型LIDARは一般的に 1064 nm のものを用いる。海底探査システムの中には水中透過性の高い 532 nm のレーザを用いる場合がある。波長の他にも、発光間隔(データ収集速度を決めることになる)と発光時間(距離方向の分解能に関係する)も適当に設定しなければならない。
一般的な代替手段である1550nmレーザは、可視光線ではないため、高い出力レベルでも「目に優しい」。しかし、検出器技術はあまり進歩しておらず、これらの波長はより長い範囲およびより低い精度で使用される。また、1000 nm赤外線レーザとは異なり、1550 nmは暗視ゴーグルで見えないため軍事用途にも使用されている。空中トポグラフィックマッピングLIDARは一般に1064nmのダイオード励起YAGレーザを使用する。一方、水深測定システムは一般に532nm周波数の二重ダイオード励起YAGレーザを使用する。これは、532nmが1064nmよりもはるかに少ない減衰で水に浸透するためです。レーザ設定には(データ収集速度を制御する)レーザの繰り返し速度が含まれる。パルス長は、一般に、レーザキャビティの長さ、利得材料(YAG、YLF等)を通る必要のある通過回数、およびQスイッチ速度、の属性に依存する。LIDAR受信機の検出器と電子回路に十分な帯域幅があれば、パルスを短くすれば、より良いターゲット分解能が得られる。

2. スキャナと光学系
データ収集速度は、システムのデータ走査速度にも影響される。走査は二次元的に行われるが、その方法は様々である。二枚の平面鏡を振動させるもの、多角形の鏡を用いるもの、スキャナが二軸をもつものなどである。光学系の性能は、角度方向の分解 と、検出できる距離の限界に影響する。反射光の分離には、穴の開いた鏡を用いる方法とビームスプリッターを用いる方法がある。

3.受光器と電子機器
受光器にはさまざまな物質が用いられる。ケイ素とインジウムガリウム砒素を用いたピンフォトダイオードやアバランシェフォトダイオードが一般的であるが、波長によっては光電子増倍管も使われる。受光器の感度は、LIDARの他の部分の設計とうまくバランスを取らなければいけない。

4.ポジショニングとナビゲーション
LIDARを可動型のプラットフォーム(航空機や人工衛星)に搭載する場合は、センサの絶対的な位置と方向を決定する装置が必要である。GPSと慣性誘導装置が用いられる。
3Dイメージングは、走査システムと非走査システムの両方を用いて達成することができる。 「3Dゲート表示レーザレーダ」は、パルスレーザと高速ゲートカメラを適用する非走査レーザ測距システムである。 DLP技術を用いたバーチャルビームステアリングの研究が始まっている。イメージングLIDARは、CMOSおよびハイブリッドCMOS / CCD製造技術を使用して通常単一チップ上に構築された、高速検出器アレイおよび変調感度検出器アレイを使用して実行することも可能である。これらのデバイスでは、各ピクセルが復調またはゲート制御などのローカル処理を高速で実行し、アレイをカメラのように読み取ることができるように信号をビデオレートにダウンコンバートする。この技術を使用して、数千のピクセルとチャネルを同時に取得することがでる。高解像度3DLIDARカメラは、電子CCDまたはCMOSシャッターでの、ホモダイン検出を使用する。コヒーレントイメージングLIDARは、合成アレイヘテロダイン検出を使用して、スタッキング単一素子受信機をイメージングアレイであるかのように動作させる。2014年にリンカーン・ラボラトリーは、16,384ピクセル以上の新しいイメージング・チップを発表した。それぞれのピクセルが単一の光子を撮影し、一つの画像で広い領域をキャプチャすることができる。2010年1月のハイチ地震の後、米軍によって使用されたピクセル数がこれの4分の1である初期の技術を使用したシステムは、ポルトープランスの上空3,000メートルをジェット機で1回通過するだけで、600メートルの広場を30センチメートルの解像度で瞬時に撮影することができた。これは都市の通りに散らばった瓦礫の正確な高さを表示したが、新しいシステムはこれの10倍高速である。このチップは、比較的長い波長の赤外スペクトルで動作するインジウムガリウム砒素(InGaAs)を使用し、より高い出力およびより長い範囲を可能にする。自己駆動車などの多くのアプリケーションで使われる新しいシステムは、チップを援助するために機械的な部品を必要としないため、コストを削減できる。InGaAsは、可視波長で動作する従来のシリコン検出器よりも、危険性の低い波長を使用する。

4.応用の種類

LIDARには、大きく空挺型と地上型に分けることのできる、幅広いアプリケーションがある。これらの異なるタイプのアプリケーションでは、データの目的、キャプチャする領域のサイズ、希望する測定範囲、機器のコストなどに基づいてさまざまな仕様のスキャナが必要となる。

4.1.空挺型LIDAR

空挺型LIDAR(もしくは空挺型レーザースキャン)とは、飛行中の飛行機に取り付けられているレーザースキャナーが、地形の3D点群モデルを作成するものである。これは現在、写真測量法に置き換わる、デジタル標高モデルを作成するための、最も詳細で正確な方法である。写真測量と比較した時の最も大きな利点が、ポイントクラウドモデルの植生からの反射をフィルタリングする能力である。これにより木々に隠されている川、道、文化遺産などの地表面を表すデジタル表面モデルを作成すことができる。空中LIDARのカテゴリーの中では、高高度、低高度と、用途が区別されていることがあるが、これの主な違いは、高度が高くなると得られるデータの精度と点密度の両方の低下度合である。空中LIDARは、浅い水域の深度計モデルを作成するためにも使用できる。
現在、ドローンが、より小さな領域をスキャンするための経済的な方法として、レーザースキャナーやその他のリモートセンサーを搭載して使用されている。無人機のリモートセンシングの可能性はまた、困難な地形や遠隔地で有人航空機の乗員が受けるであろう危険を排除することができる。

4.2.地上型LIDAR

LIDARの地上アプリケーションは(地上レーザースキャニングとも言われる)は地球表面上で動作していれば、静止していても移動可能であってもよい。静止型地上スキャンは、従来の地形学、モニタリング、文化遺産の資料化、法医学などの調査方法として最も一般的である。これらのタイプのスキャナから得られた3D点群はスキャナの場所からスキャンされた領域のデジタル画像を使い、現実的な見た目の3Dモデルを他の技術に対して比較的短い時間で作成することができる。ポイントクラウドの各点には、そのポイントを作成したレーザービームと同じ角度に位置する撮影画像から、対応するピクセルの色が与えられます。モバイルLIDAR(モバイルレーザースキャン)は、2つ以上のスキャナが移動車両に取り付けられ、経路に沿ってデータを収集するものである。これらのスキャナは、ほとんどの場合、GNSSレシーバやIMUなど、他の種類の機器とペアで使用される。これは、電力線、正確な橋の高さ、並木などをすべて考慮する必要がある通りを測る時等に使われる。タキメーターを使用してフィールド内で個別にこれらの測定値を個別に収集する代わりに、点群から3Dモデルを作成することによって、収集されたデータの品質によっては必要なすべての測定を行うことができる。これにより、モデルが利用可能であり、信頼性があり、適切なレベルの精度を有する限り、特定の測定を忘れる心配がなくなる。

5.応用

LIDARには、以下のアプリケーションに加えて、さまざまなアプリケーションがあり、全米LIDAR・データセット・プログラムで頻繁に言及されている。

5.1.農業

LIDARはまた、農家が高価な肥料を畑のどの区域に使用するかの判断を助けるために使用することができる。LIDARは、畑の地形図を作成し、農地の斜面と日照時間を明らかにすることができる。農業研究事業団の研究者は、この地形情報を前年からの農地収量の結果と比較し、農地を高、中、または低収量ゾーンに分類した。この技術は農家にとって重要であり、これによって、最高の作物収量を達成するために高価な肥料をどの畑に使用するかの判断が、正確にできるようになった。作物の健康と地形のマッピング以外のLIDARの応用に、果樹園やブドウ畑での作物マッピングがある。LIDARセンサーを装備した車両は、枝刈りやその他の維持管理が必要かどうかを判断したり、果物生産の変動を検出したり、自動樹木数を測定したりすることができる。LIDARは、精密農業技術を搭載した農業用GPS信号やドライバーレストラクターが、ナッツやフルーツ果樹園など張り出した葉によって、部分的または完全にGPSが使用不可の状況で役に立つ。LIDARセンサーは並木を検出することができるため、GPS信号を再確立できるまでの間、農業用機器を動かすことができる。

5.2.考古学

LIDARは考古学の分野で多くの用途を持っている。これは、現場作業の計画補助、森林キャノピーの下での特性のマッピング、普通では見つけられない広範囲にわたる連続的な特徴を見分けたり等である。LIDARはまた、植生によって隠されたミクロトポグラフィを明らかにする為の、遺跡の高分解能デジタル標高モデル(DEM)を作成する機能を備えている。LIDAR由来の製品は、地理情報システム(GIS)に容易に組み込み、分析と解釈を行える。たとえば、ボーセジュール砦(カナダ)では、森林キャノピーの下に1755年の砦の包囲に関連した未知の考古学的特徴をマッピングすることに成功している。地上や空中写真では区別できなかった特徴が、DEMで作成された様々な角度からの人工照明によってできた、山陰を重ね合わせることによって特定された。LIDARを使用すると、高分解能のデータセットを迅速かつ比較的安価に生成できるという利点がある。効率性以外に、森林のキャノピーを透過する能力は、アーレン・チェイスと彼の妻ダイアン・ザイノ・チェイスによるカラコルでの発見のように、現地調査を通じて到達するのが困難、もしくは伝統的な地理空間的方法では区別できない特徴の発見につながっている。返された信号の強度は、畑など平坦で植物の生えた地面の下に埋もれた特徴を検出するために使用できる。これは赤外線スペクトルを使用してマッピングする場合は特にそうである。これは、これらの特徴の存在が植物の成長に影響を及ぼすため、反射される赤外光の量にも同様に影響を及ぼすことによるものである。LIDARは2012年に、ホンジュラスのジャングルにある伝説の街ラ・シウダッド・ブランカを探しているチームによって使用された。7日間のマッピング期間中、彼らは何百年もの間、土地調査を免れた人工構造の証拠を発見した。2013年6月、マヘンドラパルヴァタの再発見が発表された。別の調査においてLIDARは、地域の密集した森林の天蓋によって覆われ、空中写真では明らかにすることのできなかった南ニューイングランド(米国)の、風景、石の壁、建物の土台、放棄された道路、およびその他の特徴を明らかにするために使用された。また、2012年5月には、ホンデュラのラモスキティア地方で以前は知られていなかった荒廃した都市を見つけるためにLIDARが使われた。

5.3.自律車両

自律型車両は障害物の検出と回避のためにLIDARを使用し、回転するレーザービームを使用して安全に走行する。LIDARセンサーからのコストマップまたはポイントクラウド出力から、ロボットのソフトウェアは環境内の潜在的な障害物がどこに存在するか、および潜在的な障害物とロボットとの相対的距離を判断する。シンガポール-MIT研究技術連盟(SMART)は、自律型LIDAR車の技術を積極的に開発している。ロボットや自動車の自動化で一般的に使用されるLIDARセンサーを製造する企業には、「Sick」と「Hokuyo」がある。LIDARセンサーを活用する障害物検出および回避の為の製品例として、Autonomous Solution、Inc.の3Dレーザーシステム、「Velodyne HDL-64E」がある。ま第1世代の自動車適応型クルーズコントロールシステムはLIDARセンサーのみを使用していた。LIDARを恣意的に操作することができるので、自走車に回避行動をとらせることができる。

5.4.生物学および保護

LIDARはまた、林業において多くの用途がある。 キャノピーの高さ、バイオマスの測定値、葉面積はすべて、空中LIDARシステムを使って調べることができる。同様に、LIDARはエネルギー、鉄道、などの多くの業種や運輸局に、より速い測量方法として使用されている。地形図は、レクリエーション用のオリエンテーリングマップなどでも、LIDARで容易に作成することができる。
さらに、セーブ・ザ・レッドウッド・リーグは、カリフォルニア州北部の海岸にあるレッドウッドを地図にするプロジェクトに取り組んでいる。このプロジェクトの中でLIDARは、研究者が以前にマップしていなかった樹木の高さを測定するだけでなく、レッドウッドの森林の生物多様性を調べることを可能にする。LIDAR・プロジェクトの北岸同盟で働いているスティーブン・シレットは、この技術により、太古からのレッドウッドを保護、保全する将来の取り組みに役立つと主張している。

5.5.地質学と土壌学

空中艇LIDARによって生成された高分解能のデジタル高度マップは、地形学(地球表面地形の起源と進化に関係する地球科学の分野)において著しい進歩をもたらした。LIDARの、河川テラスや河川敷などの微妙な地形の特徴を検出し、植生キャノピーの下の地表の標高を測定し、仰角の空間微分をより良く解消し、個別の調査の間での標高の変化を検出する能力は、地形を形作る物理的および化学的プロセスを調べる多くの新規研究を可能にした。2005年、モンブランのトゥール・ロンドは、高高度での永久凍土の気候変動と変質に起因するとされる、岩場での大規模な岩の落下の深刻な増加を監視するためにLIDARが採用された最初の高山になった。
地球物理学および地質構造学では、航空機ベースのLIDARとGPSの組み合わせが、障害を検出し、隆起を測定するための重要なツールに発展した。この2つの技術は、樹木を通して地上高度を測定することもでき、極めて正確な標高モデルを、地形モデルのために生成することができる。この組み合わせが用いられた最も有名な例は、米国ワシントンでのシアトル断層の位置を見つけるために使用された例だろう。この組み合わせはまた、セント・ヘレンズの山岳地帯での隆起を測定するために、2004年に起こったの隆起の前と後のデータを使用した。また、空中LIDARシステムは氷河を監視し、わずかな量の成長または減少を検出できる。衛星ベースのシステムであるNASAの「ICESat」には、氷河監視のためのLIDARサブシステムが含まれている。NASAの空中地形マッパーも、氷河を監視し、沿岸の変化の解析を行うために広く使用されている。この組み合わせはまた、土壌調査の際に土壌科学者によっても使用されている。詳細な地形モデリングにより土壌科学者は、土壌の空間的関係におけるパターンを示す、勾配の変化および地形の崩壊を知ることができる。

5.6.大気リモートセンシングと気象学

当初、ルビーレーザーをベースとした気象学的用途のためのLIDARは、レーザの発明の直後に構築され、レーザ技術の最初の用途を代表するものであった。LIDARの技術はそれ以来、能力が大幅に拡大しており、雲のプロファイリング、風の測定、エアロゾルの研究、様々な大気成分の定量化など、さまざまな測定を行うために使用されている。大気成分は、(酸素または窒素の吸収を測定することで)表面圧力、温室効果ガス排出(二酸化炭素およびメタンガス)、光合成(二酸化炭素)、火災(一酸化炭素)および湿度(水蒸気)を含む有用な情報を含む。 大気LIDARは、測定の種類に応じて、地上、空中、衛星のいずれかの種類が使われる。
大気LIDARのリモートセンシングは、以下の2つの方法で動作する。

1.大気からの後方散乱を測定することによって

2.地面または他の硬い表面からの散乱反射(LIDARが空気中の場合)を測定することによって

大気からの後方散乱は、雲とエアロゾルの測定値が直接検出できる。風や氷晶からの後方散乱により検出された測定値は、検出された波長、偏光の注意深い選択を必要とする。ドップラーLIDAR(Doppler Lidar)およびレイリードップラーLIDAR(Rayleigh Doppler Lidar)は、後方散乱光の周波数を測定することによって、温度、風速を測定するために使用される。移動中のガスのドップラー広がりは、その結果生じる周波数シフトを介して特性の測定を可能にする。円錐スキャンを実行する、NASAのハリLIDARのようなスキャニングLIDARは、大気風の風速を測定するために使用されてきた。ESAウィンド・ミッションADM-Aeolusには、世界的に垂直風のプロファイルを測定するための、ドップラーLIDARシステムが装備されている。2008年の夏季オリンピックでは、ヨット競技中に風力場を測定するためにドップラーLIDARシステムが使用された。ドップラーLIDARシステムは現在、再生可能エネルギー分野で風速、乱気流、風力発電および風力発電のデータを取得するために適用され始めている。パルス波システムと連続波システムの両方が使用されている。パルスシステムは、垂直距離分解能を得るために信号タイミングを用いるが、連続波システムは検出器の焦点検出に依存する。
用語イオリクス(eolics)は、計算流体力学シミュレーションとドップラーLIDAR測定を使用しての、風の共同研究と学際研究を示す用語として使用することが提案されている。
空中LIDARの地面反射は、LIDAR波長で表面反射率(大気透過率が解っていると仮定して)を測る。 しかし、地面反射は、通常、大気の吸収測定を行うために使用される。「差分吸収LIDAR」(DIAL)測定では、2つ以上の近接した間隔(<1 nm)の波長を使用して表面反射率および他の透過損失を除外する。なぜなら、これらの係数は波長に比較的影響を受けないからである。ガスの適切な吸収ラインに合わせることで、大気中のその特定のガスの濃度(混合比)を測るのに、DIAL測定値を使用することができる。これは、LIDAR経路全体に沿った積分吸収の尺度であるため、統合経路差分吸収(IPDA)アプローチと呼ばれている。IPDALIDARは、パルスまたはCWであり、基本的には2つ以上の波長を使用する。IPDALIDARは、二酸化炭素とメタンのリモートセンシングに使用されています。合成アレイLIDARは、アレイ検出器無しでLIDARを画像化できる。これは、ドップラー速度測定、超高速フレームレート(MHz)イメージング、およびコヒーレントLIDARのイメージングにおけるスペックル低減に使用できる。LIDARの大気および水圏アプリケーションを示した書籍に、グラントによるものが有る。

5.7.法執行

LIDARスピードガンは、スピード制限の実施の目的で車両の速度を測定するために警察によって使用されている。

5.8.軍事

いくつかの軍事的用途が知られており(AGM-129 ACMステルス・クルーズ・ミサイルのLIDARベースの速度測定のように)機密情報として扱われているが、イメージングにおいて研究が進行中である。高解像度システムは、戦車などのターゲットを識別するのに十分な詳細を収集できる。 LIDARの軍事用途の例には、アレテ・アソシエイツによる対地雷戦用の空中レーザ地雷探知システム(ALMDS)が含まれる。NATO報告書(RTO-TR-SET-098)は、潜在的な技術が生物兵器区別のための独立した検出を行える事を評価した。評価された潜在的な技術は、長波赤外線(LWIR)、微分散乱(DISC)、および紫外レーザ誘起蛍光(UV-LIF)であった。報告書は次のように結論づけた。タスクグループは、上で議論されたテストされたLIDARシステムの結果に基づいて、独立した検出システムの短期(2008-2010)適用のための最善の選択肢がUV LIFであると結論付けた。しかし、長期的にはスタンド・オフ・ラマン分光法などの他の技術が、生物兵器区別に有用であることが判明する可能性がある。
レーザ誘起蛍光(LIF)に基づくコンパクトな短距離分光器LIDARは、スタジアム、地下鉄、空港など、重要な、室内、準密閉、屋外のエアロゾル形態のバイオ脅威に対処できる。 このほぼリアルタイムの能力は、バイオエアロゾル放出の迅速な検出を可能にし、乗員を保護し、汚染の程度を最小にするための措置の適時実施を可能にする。長距離生物学的独立検出システム(LR-BSDS)は、科学兵器攻撃の早期察知を提供するために米国陸軍用に開発された。これは、ヘリコプターに搭載される空中艇システムであり、生物および化学物質を含む人工のエアロゾル雲を長距離で検出できる。30km以上検出範囲をもつLR-BSDSは、1997年6月に初めて使用された。2005年のDARPAグランドチャレンジで優勝した自律車スタンレーの短距離検出には、ドイツのSick AGが製造した5台のLIDARユニットが使用された。ロボットのBoeing AH-6は、2010年6月に完全自律飛行を行った際、LIDARを使用して障害を避けるなどした。

5.9.鉱業

LIDARは、さまざまな作業の為に鉱業で使用されている。鉱石量の計算は、鉱石を採取しているエリアで(毎月の)定期的なスキャンを行い、表面データを前回のスキャンと比較することによって達成される。
リオ・ティント「未来の鉱山」で使用される小松自律輸送システム(AHS)のようなロボット鉱山用車両の障害検出および回避には、LIDARセンサーを使用することもできる。

5.10.物理学と天文学

世界中の天文台はLIDARを使って月に置かれた反射鏡までの距離を測定し、月の位置をmm精度で測定することで、一般相対性理論のテストを行うことができます。火星旋回レーザ高度計であるMOLAは、火星周回衛星(NASAの火星探査機)でLIDAR計測器を使用して、この赤い惑星のグローバルトポグラフィ調査を行った。
2008年9月、NASAのフェニックス・ランダーはLIDARを火星の大気中の雪を検出するために使用した。
大気物理学では、大気圏中部および上部の、カリウム、ナトリウム、分子状の窒素や酸素などの特定の成分の密度を測定するための遠隔検出装置としてLIDARが使用されている。これらの測定値は温度を計算するのに使用できる。 LIDARは、風速を測定し、エアロゾル粒子の垂直分布に関する情報を提供するためにも使用できる。
英国オックスフォードシャー、アビングドン近くのJET核融合研究施設では、LIDARトムソン散乱がプラズマの電子密度と温度プロファイルをはかるために使用されている。

5.11.岩盤力学

LiDARは、岩石質量分析および勾配変化検出のために岩石力学において広く使用されている。 岩塊のいくつかの重要な地質学的特性は、LIDARによって得られた3D点群から抽出することができる。 これらの特性の一部は次のとおり。

  • 裂け目の向き
  • 裂け目の間隔とRQD
  • 裂け目の口径
  • 裂け目の永続性
  • 裂け目の粗さ
  • 水の浸入

これらの特性は、RMR指数による岩塊の地質学的品質を評価するために使用されている。さらに、既存の方法論を使用して裂け目の方向を抽出することができるため、SMR指数により岩石斜面の地質学的品質を評価することが可能である。これに加えて、異なる時間点で取得された複数の勾配の3D点群を比較することで、その間に岩場に起こった地すべり等の変化を調べることができる。

5.12.ロボット工学

LIDARの技術は、環境の認識と物体の分類のためにロボット工学で使用されている。
LIDAR技術がもたらす、周囲の3次元の地形図、地面との高精度距離、および接近速度をはかる能力は、ロボットの安全な着陸および有人車両を高精度で可能にする。その他の例については、上の軍事の項を参照。

5.13.宇宙飛行

LIDARは近距離操作および宇宙船の体制制御に必要な、相対速度の測距および軌道要素の計算にますます利用されている。LIDARはまた、宇宙からの大気研究にも使われています。 宇宙船から放射されたレーザ光の短パルスは、大気中の小さな粒子に反射し、宇宙船のレーザと並列されている望遠鏡に戻ってくる。LIDARの「エコー」を正確に時間調整し、望遠鏡がどれだけのレーザ光を受け取るかを測定することにより、科学者は粒子の位置、分布、性質を正確にはかることができる。これは、雲滴から工業汚染物質まで、他の手段では検出が困難な大気中の成分を研究するための革新的な新しいツールである。

5.14.測量

空中艇LIDARセンサーは、リモートセンシング分野の企業で使用されている。DTM(数値地形モデル)やDEM(数値標高モデル)の作成に使用でき、 これは飛行機が1回の飛行で3〜4km幅のエリアをはかれるため、より広い領域をはかる場合には非常に一般的な方法である。森林であっても、キャノピーの高さと地上高を、より低い垂直飛行であれば50mm以下の垂直精度ではかることができる。これは、地理参照された制御ポイント上に設置されたGNSS受信機が、データをWGS(世界測地系)にリンクするため等に必要とされる。

5.15.交通

LIDARは鉄道業界では資産管理の一環である資産健全性報告を生成するため、また輸送部門では道路のコンディションを確認するために使用されている。CivilMaps.comは、この分野の最大手である。LIDARは、自動車のアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)システムに使用されてきた。シーメンス(Siemens)やヘラ(Hella)のようなシステムは、バンパー等、車両の前部に取り付けられたLIDAR装置を使用して、車両間の距離をはかる。前方の車両が減速するなどして車間距離が縮まると、ACCはブレーキをかけて車両を減速させる。前方の道路が安全だと判断できれば、ACCは運転手によって予め設定された速度まで加速する。その他の例については、上の軍事の項を参照。

5.16.ウィンドファームの最適化

LIDARは風速と風の乱れを正確に測定することで、風力発電所からのエネルギー出力を増加させることができる。実験的なLIDARシステムは、風力タービンのナセルに取り付けたり回転スピナーに組み込むことで、水平方向の風、風力タービンの後方の風を測定したり、ブレードを積極的に調整することで、部品を保護したり電力を増やしたりすることができる。また、LIDARは風力タービンの出力カーブを測定することによって、インシデント風資源を特徴付け、風力タービンの性能を検証し、風力タービンの発電量の確認をすることができる。風力発電所の最適化は、適用イオリクスの中で述べられるべきであろう。

5.17.太陽光発電配備の最適化

LIDARはまた、都市レベルでの太陽光発電システムを最適化する計画立案者や開発者を助けるために、設置に適切な屋根を決定し、遮光ロスをはかる事に使用できる。最近の研究は、建物の正面の太陽電位推定と、植生や周辺の地形の影響を考慮してより詳細な遮光ロスを組み込むことに焦点を当てている。

5.18.ビデオゲーム

レーシングゲーム「iRacing」ではスキャンされたレーストラックを特徴とし、ゲーム内の3Dマッピング環境で、ミリメートル精度の凹凸が再現されている。

5.19.その他

Radioheadの曲「House of Cards」は、初のリアルタイム3Dレーザースキャンを使用したミュージックビデオであるとされている。構造化された光走査も使用されているため、全データがLIDARによって得られたものではない。

6.代替技術

詳しくは3D scannerを参照のこと
最近のSFM(Structure From Motion)技術の発展により、視覚およびIR写真から抽出されたデータに基づいて3D画像および地図を作製することが可能になった。標高または3Dデータは、マッピングされた領域上の複数の平行パスを使用して抽出され、通常は特別に選択され較正されたデジタルカメラである1つのセンサからの視覚光画像および3D構造の両方を作成する。

 

参考文献

参照ページ

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