超高速レーザー分光学(ultrafast laser spectroscopy)とは

ピコ秒,フェムト秒,アト秒領域の時間幅を持ったレーザーパルスを一つまたは複数利用して,電気回路の時間的応答限界を越える時間分解能を実現する分光学一般を指す.光(X線-可視光線-赤外線)によって開始されうる.すべての現象が研究対象になりうる.たとえば,結晶,ガラスなどの光応答特性,光化学,光生物学などである.いわゆる不確定性原理(あるいはフーリエ変換限界)に基づく超短パルスの実現のためには広いスペクトル幅が必要である.しかし,必ずしもエネルギー分解能を犠牲にしているわけではなく,正確な時間応答関数を得ることでスペクトル幅以下の精度でエネルギー準位の情報を得ることも可能である.レーザーの発明以来,レーザーパルス時間幅短縮技術とともに発展してきた歴史とがあるが,1990年代以降,光源の安定化が急速に進み,研究対象は大きく批大した.