電磁波誘起透明化(electromagnetically induced transparency:EIT)とは

物質の三つのエネルギー状態(下から|1>,|2>,|3>とする)に二つの光を作用させて誘起する現象.|1>,|3>間および|2>,|3>間巡移に共鳴する二つの光を照射すると,2光子共鳴で紡ばれた|1>,|2>が,dark stateあるいはpopulation trapping stateと呼ばれる量子力学的な重ね合せの状態になり,|3>との光学的結合が切れる(|3>への遷移確率がゼロになる).その結果,物質が|1>,|2>の状態にあり,かつ|1>,|2>から|3>への遷移に共鳴する光が存在するにもかかわらず,|3>への励起が起こらなくなる.つまり吸収が消火して物質が透明化する.この現象をEITと呼ぶ.EITでは,屈折率も大きく変化する.