レーザー冷却(laser cooling)とは

原子,分子やイオンにレーザー光を照射し,吸収した光子よりエネルギーの高い(波長の短い)光子を放出させて,それらの粒子の運動エネルギーを散逸させる,つまり温度を下げる手法.代表的なものはドップラー冷却で,これはレーザーに対向して運動している粒子の共鳴周波数が正にドップラーシフトする効果を利用して,負に離調したレーザー光の光子を吸収させ,それより平均としてエネルギーの高い光子を自然放出により放出させる.このような自然放出過程を含んだ冷却では,一般に粒子を1光子の反跳運動量に相当する温度(反跳限界温度)以下に冷却することはむずかしいが,自然幅の非常に狭いラマン遷移を用いるラマン冷却や,速度がゼロのときだけ光と相互作用しないような状態に原子をため込むVSCPT(velocity-selective coherent population trapping)など,反跳限界温度以下まで冷却する手法も存在する.→ポーズ・アインシュタイン凝縮