2光子励起(two-photon excitation)とは

物質が2つの光子(フォトン)を同時に吸収して励起状態になる非線形光学現象.通常の1光子過程では,一つの電子が一つの光子を吸収して励起され,熱緩和,発光,化学反応などが発生するが,2光子過程では一つの電子が二つのフォトンを同時に吸収することによって励起される.電子の励起準位が同じ場合,2光子過程の励起光の波長は,1光子過程の倍の波長となる.2光子励起を効率良く発生させるには,尖頭出力の大きな短パルス光源が必要である.2光子励起過程を利用すると,3次元観察,3次元加工が実現できるため,光学顕微鏡,光加工,バイオテクノロジーなどへの応用が展開されており,ナノフォトニクスの分野で今後の展開が期待されている.