軟X線顕微鏡(soft X-ray microscopy)とは

波長が数十nmから1 nm前後の電磁波を光源として利用する顕微鏡.検出器として利用するフィルムなどに試料を密着し,フィル上に記録された透過X線による像を電子顕微鏡などで高分解能観察する密着型,光学素子を用いて拡大観察する結像型,光学素子により集光した微小焦点上に試料を走査して透過X線の強度を求める走査型などがある.集光拡大用の光学素子としては,ゾーンプレート,斜入射鏡,軟X線多層膜反射鏡などが用いられる.分解能として密着型で10 nm程度,ゾーンプレート光学系で30~50 nm前後が達成されている.軟X線の試料透過性などの特徴から,光学顕微鏡と電子顕微鏡の谷間を埋める新しい顕微鏡と期待され,また生物試料の観察にその特徴が発揮されると期待されて開発が進められている.なお,波長2.3 nmから4.3 nmの領域はwater window(水の窓)と呼ばれ,水による吸収が少なく,水溶液中の生体試料の観察に適している.→X線レーザー