化学反応動力学(chemical reaction dynamics)

素反応の時間発展を分子レベルで追究する研究分野.化学反応は種々の素反応から成り立っている.どのようにして素反応が起こるか,反応の速さを支配している因子は何かなどを明らかにする.実験的方法のっとして,分子ビームによる衝突断面積および散乱の角度分布の情報を解析する方法がある.最近のレーザー技術の進歩により,フェムト秒レーザーパルスを用いて,素反応の時間経過を直接分子レベルで観測することが可能となっている.このような研究領域はフェムト秒化学と呼ばれ,化学反応動力学の重要な一領域である理論的には,ある代表点が反応ポテンシャル曲面上を運動するととらえ,運動方程式を解き,反応の割合(速さ)と確率などを評価するのが古典的方法である.反応系の核波束の時間発展を時間依存シュレディンガー方程式から評価するのが量子論的方法である.