位相共役鏡(phase conjugate mirror)とは

入射光の波間の空間的に共役な波面を持つ光を位相共役波と呼び,位相共役波を発生する素子を位相共役鏡と呼んでいる.位相共役波は,波面がそのままで時間軸だけ反転させた光と等価であるので,もとの光が伝搬してきた経路を忠実に逆行する.一般に,光の波面はレンズをはじめとする光学部品を伝搬するうちにひずむ.位相共役波は自ら波面のひずみを補償しながら光学部品を遡り,光源に忠実に戻る.この位相共役波の性質は位相補償性と呼ばれ,レーザー装置に現れる熱収差などの補償に応用が期待されている.位相共役波発生には,カー効果,誘導ブリュアン散乱,誘導ラマン散乱,飽和吸収,飽和利得,フォトリフラクティブ効果などの非線形光学効果が用いられる.