ファイバーレーザーをゼロから解説
光ファイバカプラ( optical fiber coupler )は光信号を分波・合波できる受動光デバイスである。光ファイバ自身が光導波路となるため挿入損失が小さく、量産化により価格も安くできることから、光ファイバ通信だけでなく光源や光ファイバのモニタ、ファイバーレーザーの励起、EDFA、波長多重システムなどに用いられている。特に分岐比が1:1のものを光パワーが半分(-3dB)になることから3dBカプラと呼ぶ。
光ファイバカプラでは複数の光ファイバのコアが近接しているため、それぞれの光ファイバでモード結合が起こり、光パワーが一方から他方に分岐する。分岐比はコア間の距離と、近接している距離(結合長)により制御できる。図1に光ファイバカプラの模式図を示す。

図1:光ファイバーカプラの模式図
カプラの原理はモード結合理論(coupled mode theory)で説明されることが多い。
図1のような2×2のファイバカプラを想定する。まず、2本の光ファイバを平行に整列させた後、マイクロバーナーまたはマイクロヒーターで加熱し融着する。さらに、融着下部分を加熱した状態で延伸することにより、融着部分が細径化される。この細径化された部分で光の結合が起きる。
光ファイバカプラは用途によって様々な種類・性能を持っており、目的により(1)任意の波長の光を一定の比率で分岐するカプラ、(2)特定の波長の光を特定ポートから入射して同一ポートから出射したり(合波)、複数の波長を同一ポートから入射して特定ポートにそれぞれ波長を分けて出射する(分波)WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重方式)カプラに分類できる。
分岐カプラは、同一比で光を分岐して光信号を分配したり、分岐比を変えて主信号系の光パワーのモニタに使用する。分岐カプラは比較的温度制御が容易で、生産性がよく、価格が安いというメリットを持っている。特性としては分岐比誤差が小さい、過剰損失が小さい、偏波依存損失(PDL : Polarization Maintainging Loss)が小さいことが望まれる。分岐カプラのスペック例を表1に示す。
| 項目 | 特性 | ||
|---|---|---|---|
| 3dBカプラ(50:50) | 6dBカプラ(75:25) | ||
| 使用波長(nm) | 1310±20 | 1310±20 | |
| 通過損失(dB) | ポート1⇔ポート3 | ≦3.5 | ≦1.7 |
| ポート1⇔ポート4 | ≦3.5 | ≦7.1 | |
| 過剰損失(dB) | ≦0.6 | ≦0.7 | |
| 反射減衰量(dB) | ≧50 | ≧50 | |
| 偏波依存損失(dB) | ≦0.15 | ≦0.15 | |
上記のカプラは更に広帯域カプラ、多分岐カプラに分けることができる。
分岐比の波長依存性を小さく抑えたカプラで、広帯域に渡ってフラットな分岐比となっている。広帯域光源を用いるOCTの干渉計などに用いられる。
多数の光ファイバの束を溶融接合したカプラをスターカプラという。1対多の光分岐ができるので、光LANや光アクセスシステムで重要なデバイスである。